私が26年務めた会社員生活の中で、最もやりがいや働き甲斐を感じた部署を挙げるとしたら、圧倒的に現役引退後に配属された部署です。
これまでスポーツ一筋でやってきた私が、スポーツを離れて社業に専念することに、様々な困難が待ち受けていました。
まず、社会人として12年のブランクがあったこと。これは誰よりも長く現役を続けていたからこその悩みでした。
ましてや大企業。このブランクの中、実力を付けていかなければという状況。
引退直後は、多少のワクワク感はありましたが、実際職場に配属されると、それはもう不安と劣等感の毎日でした。
そもそも、仕事をする上での常識や、当たり前の社内ルールがわからない。
他部署との関わりにおいても、その人の部署がどんな仕事をやっているのかもわからない。
メール一つとっても、どう打ってよいのかかなり時間がかかったものです。
また、その部署は研究業務とあって地道だけどスケジュールもかなりハード。それをこなしているメンバーが凄すぎて、打合せの内容も全く付いていけず。
そんな状態の中、何もできないなりに上司は私に役割を与えてくれました。
学びの機会も含め、様々な提案もしてくれました。
ゼロの状態から少しずつ成長しつつあった数年後、今度は新たな大きなチャレンジを促してくれました。
その一つが、社内の一大プロジェクト。ビッグプロジェクトとあって躊躇していましたが、それでも、何かあった時は上司が責任を負う、大丈夫だと、背中を押してくれました。
そして自分を信じてくれました。
この経験が、その後の私のキャリアに大きな影響を与えたのは間違いありません。
これを機に、私のイメージが「元陸上選手」から「〇〇プロジェクトの人」へと変わっていったのです。
私から見たその上司の姿は、
上司と思えないほど謙虚で、全然威張っていない。
部下とも対等に話してくれる。
驕らず、飾らず、繕わず、大きく見せず。
いつもありのままの姿で接してくれました。
話もよく聞いてくれるし、部下を信じてくれる。
本音で話ができ、泣いて相談することもありました。
釣り好きで、家族の話やプライベートの話もよくしてくれました。
成長に応じて沢山のチャレンジの機会とチャンスを与えてくれた上司の存在。
困難なチャレンジにワクワクさせてもらえたのは、私に期待をしてくれた上司のお陰です。
この時の上司を含めたメンバーとは、九州と関東で離れていますが今でも連絡を取り合い、集まる機会があります。
きっと、上司に対してそう感じていたのは私だけではなかったのでしょうね。
人を活かす、人の能力を最大化するヒントが、この上司の資質から見えてくるのではないでしょうか。
スポーツ一筋だった私を、企業で必要とされる人材になるよう育ててくれた上司には感謝しかありません。