「わかったか!」
「はい!」
スポーツの指導現場では、このような光景が多く見られます。
選手を一列に並べ、監督の一方的な指示命令で一斉指導をするといった指導スタイルは、軍人を鍛える「体育」の名残りが残っているのでしょう。
この時、もし選手が「わかりません」と言ったら監督はどのような反応をするのでしょうか。
なぜ選手は「はい」としか言わないのでしょうか。
選手は本当にわかっているのでしょうか。
ちなみに、海外では指導者が選手と常に目線を合わせて話します。
それは、子どもに対しても大人に対しても同じです。
指導者と選手に上下関係はなく、「対等」だからこそ、このスタイルは海外では自然なことなのです。
海外の子どもたちは、わからないことがあると、すぐに「なぜか?」「なぜだ?」とコーチになぜなぜ攻撃をしてくると言います。
この「なぜ」に対して、子ども達が納得する説明をしている海外の指導者に比べ、日本では残念ながらその説明もなく「俺の言ったことが絶対」「俺に逆らうな」という空気の中、一斉指導のスタイルであるがゆえに「いいえ」や「わかりません」とは言いにくい環境となっているのではないでしょうか。
日本人選手が、選手として海外で活躍するケースはあっても、日本人指導者が、指導者として海外で活躍できない理由は、
【「なぜ」に対する説明ができない】
ここにあると言います。
テレビでも、ブラック校則の特集で、「なぜ茶髪がダメなのか」「男子が長髪だとなぜ教室に入ってはいけないのか」に対する、「校則だから」という学校側からの回答に議論がなされていましたが、教育や人材育成においては、この「説明力」や「コミュニケーション力」は、指導者こそ今備えるべき能力だと思っています。
きっと指導者自身も、自分が子どもの頃は軍隊的指導を当たり前のように受けてきたことがモデルケースとなっており、そもそも説明する必要性を感じてこなかったのでしょう。
一方的な指導、つまり、指示命令は「選手に考えさせない」指導となり、選手が本来持っている「考える力」を奪っていることになります。
海外の指導者のように、「対話」を重視して選手や子どもたちの考える力を養う指導スタイル。
引き続き多くの指導者の方へこの必要性と重要性、この「なぜ」を伝えていきたいです。