今回は、ジュニアサッカー指導者の指導事例です。
コミュニケーションのノウハウを学ぶ前と後で、どのように関わり方や指導の仕方が変わったのか。
その一つが、指導者と選手の話す割合。
試合のハーフタイムの場面を例に挙げると、
以前は、ハーフタイム中、「指導者がずっと話しっぱなし」だったそうです。
今思うと、「恐らく選手の頭はパンク状態だっただろう」と。
しかも、3人のコーチが順番に話していたそうで、「話もせいぜい最後の一人くらいしか覚えてなかったのでは」と。
コミュニケーションのノウハウを習得するうちに、「これはよくない!」と気づき始めた指導者。
そう思った理由は、選手の学習効果が高まらないから。
常に指導者が話して指示命令ばかりしていると、指示を受けてから動く人になってしまう。
そうじゃなく、サッカーは、常に自分で判断して実行するスポーツ。
「そのためには、指導者が話しっぱなしではなく、選手たち自身に気づきや発見を促すアプローチをしないと。」
その後、実際にどのようにハーフタイムの関わり方を変えたのか?
「指導者が一方的に話すのではなく、選手が3人組になって、前半の気づきや相手についてわかったことを選手同士で話させています。」
なるほど。確かにこれだけでもかなり指導者と選手の話す割合が変わってきたのがわかります。
これによる指導者側のメリットもあったそうで、選手同士が話し合う様子を観察しながら、彼らの理解度や、彼らが考えていること、感じていることがわかるようになったというのです。
意外に、選手たちは気づいている。
そんな新たな気付きも得られたようです。
あとは、残りの時間で、選手たちが不足している点だけを伝える。
この関わり方に変えて、どんな効果があったのか。
すると、このような話が聞けました。
「後半もその流れで、何か気付いた時には、選手同士がピッチで話をするようになりました。もしハーフタイムで指導者が指示ばかりしていたら、きっと後半も選手たちは指導者の指示や伝達を望むようになってしまうでしょう。今は自分たちでゲームを作るという意識が高まり、その自覚も芽生えています。」
スポーツはやらされるものではなく、楽しむもの。
きっと、自分たちでゲームを作ろうとしている子どもたちは、誰よりもサッカーが楽しめているに違いありません。
そんな光景が目に浮かぶ素敵な事例でした。